教科横断型授業(第3期)
本校で実施した教科横断型授業のうち14種の概要・学習指導案を公開します。
①「石膏が固まる原理」 【美術×化学】 (第1学年) ☞学習指導案
彫刻素材を石こうで成形するときの化学変化について、化学基礎担当の先生とのコラボ授業を実施しました。前時に石こうを水で固めた生徒たちは各自が疑問に思ったことをレポートにまとめ持参。着眼点がよい生徒3人に発表してもらいました。焼肉が加熱とともに硬くなることを例に説明した生徒や、石こう利用の歴史や語源、JISの表記など多岐にわたる探究がみられました。その後、高橋先生の解説動画を視聴し、石こうの水和反応および作業時の失敗理由についても化学的視点から理解を深めました。
②「油絵と脂肪酸の働き」 【美術×化学×家庭科】 (第1学年) ☞学習指導案
③「Egg Drop」 【英語×科学実験】 (第1学年) ☞学習指導案
NASAで行われている、宇宙船へ衝撃をどのように緩和させるかを、英文を読み、身のまわりにあるもので実験しました。生徒のユニークなアイデアが形になり、生徒たちも生き生きと活動していました。
④「コリオリの力」 【地理×物理×化学】 (第2学年) ☞学習指導案
⑤「新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」(小学館新書) 【現代文×美術×数学】 (第1学年) ☞学習指導案
「『渦巻きは、おそらく生命と自然の循環性をシンボライズする意匠そのものなのだ』という筆者の主張をあなたなりに解釈しなさい」という問いに挑んだ。生徒から「3次元に生きている私たちは膨らみをもつ円柱形であらわされるということではないか。」など様々な意見が飛び出した。
⑥「産業革命のはじまり」 (東京書籍) 【歴史総合×物理】 (第1学年) ☞学習指導案
扱った単元は「産業革命のはじまり」であり、イギリス産業革命が起きた背景について世界史と物理の両方の視点から考えていきました。物理の先生からは、産業革命期の動力における技術革新に関連し、蒸気機関の構造や、スターリングエンジンの構造について講義していただき、最終的にスターリングエンジンの動きを教室でデモンストレーションしていきました。生徒の感想としては以下のようなものがありました。
・技術革新は世の中に大きな影響を及ぼすことがわかった。特に機械をつくり、産業を育成することで、能率が何倍にも上がるのはすごいと思った。
・蒸気機関の発明に加え、往復運動から回転運動を起こしたことのすごさが分かりました。
・蒸気機関の仕組みを知ることができてとても面白かった。
・蒸気機関の利用により発展し、現在も使われているものはないのか興味をもった。
⑦「18世紀のヨーロッパとアジア」(東京書籍) 【歴史総合×地理】 (第1学年) ☞学習指導案
チョコレートの歴史をテーマに、17世紀以降に成立した経済体制について世界史と地理の両科目の視点から理解し、現在にまで残る社会問題との関係性について考察しました。生徒からはカカオを歴史的視点と地理的視点の両方から見ることによって、知識が増え、深く考えることができた。
⑧「高齢者の尊厳」 【家庭科×国語】 (第1学年) ☞学習指導案
「高齢者の尊厳を考える」授業を軸に、意見集約のツールとして、Classiと「テキストマイニング」を使用した授業を行いました。ロールプレイングを通して、高齢者の行動に対しての言葉がけを考えさせました。いろいろと反省点も多いですが、新しいことにチャレンジできたので、今後の授業改善に活かしていきたいです。やること多すぎの1時間になったので、もう少し落ち着いてできるような設定にすれば良かったなと、反省です。(家庭科教員)
時間の少ない中で、家庭科担当の先生と一緒に授業について話し、徐々に自分の頭の中イメージが出来上がってくる感覚が楽しかったです。生徒のスマホを使った「テキストマイニング」や「ロールプレイング」については、もっと勉強する余地がありますがこれからの新しい授業の可能性も見えてきました。まだまだ課題のある授業内容で、参観していただいた先生方からご指摘もたくさんいただきましたが、自分たちでやりたかったことは達成できたと思っています。(国語科教員)
⑨「『音源の振動』~数学を利用して音階を作ろう~」 【物理×数学】 (第2学年) ☞学習指導案
題材は試験管による気柱共鳴である。題材に対する生徒の興味は申し分なく、生徒は積極的に活動してくれたため、問いの設定には成功していたと思う。福島先生との掛け合いによる授業形式は非常に盛り上がった。生徒も「物理と数学の両方を今後もっと頑張っていきたい」という感想を述べるなど、効果的な授業方法であると再認識できた。今回、パフォーマンス評価にも挑戦したが、これは失敗であった。評価内容がレポートによる評価が可能なものばかりであり、無理に入れる必要はなかった。しかし、挑戦したことによって課題が見つかったという点では、やって良かったと思う。授業の中だけでなく、準備の段階で私自身も大きく成長することが出来た。(物理科教員)
身近な内容に数学を活用することを、普段の授業でも少しでも意識して取り組んでいます。数学の授業ではなかなか実験まですることができませんが、数式から得られた値から実際に音階が鳴り、自然と拍手が起きたときは、こうやって数学の世界と現実をつなげられる機会は大切だと感じました。また物理ではデータの誤差の評価も強く意識されており、数学の授業より数学っぽい、と思う場面もありました。数学と物理は、互いの専門性を上手に活かしていける題材がまだまだあると思います。(数学科教員)
⑩「反応速度」(化学改訂版 啓林館) 【 化学×数学】 (第2学年) ☞学習指導案
今回の公開授業で扱った内容は、発展扱いですが入試で出ることも多く、最初は「とりあえずやってみよう」という軽い気持ちでした。しかし、数学の先生と打ち合わせを進めていくうちに、難しいことに手を出してしまったことに気付き、実は不安になっていました(笑)しかし、今回のこの経験で私自身改めて数学の重要性に気づくことができ、さらに1つのことに対して他教科の先生と話すことで、教材を深く掘り下げていくことができるという貴重な経験をさせていただきました。私の無謀な誘いに乗ってくださり、私を引っ張ってくださった数学の先生には、感謝×100です!(化学科教員)
化学とのコラボ授業は初めての経験で、しかも未習の微分方程式を扱うことで不安はありました。私の課題設定がうまくいかず、思うような展開にはならなかったのですが、生徒が難しい内容にも関わらず一生懸命取り組んでくれたことで、大変救われました。授業を通して、化学の現象を数学につなげることや、扱われる記号の扱いなどはなかなか難しいことだなと感じ、理科のことを意識することも必要だなと感じました。そして、難しい内容に挑戦したことで自信になったのか、公開授業の後の授業の様子は非常に良くなったと感じるので、やってよかったなと思います。(数学科教員)
⑪「土佐日記 羽根」 【古文×地学基礎】 (第2学年)
私自身初めての教科横断型(そして初めてのプロジェクター)ということで、課題もたくさん見つかりましたが、収穫もたくさんありました。何より、普段はあまり見ることのできない、学んでいる時の生徒のいきいきとした表情を見られたことが私にとっては大きな収穫でした。(他教科、ということで国語の時間にはあまり発言をしない生徒が積極的に活動に参加していたことと、一人で前に立つと持てない余裕が、今回地学の先生がいてくださるおかげで持てたというのが理由です。)分科会でご指摘いただいた評価方法等の課題については、今後も引き続き考えていきたいと思います。本当にありがとうございました。(国語科教員)
国語の先生のおかげで、授業中も楽しく過ごせました。また、2年7組の生徒も、たくさんの先生方がいる中で、前で発表あれほど堂々と発表できるとは思いませんでした。見直しました。今後の課題としては、分科会でも出ましたが、評価をどうするかです。教科横断型?の場合、どちらの教科で評価するのか?どちらでも評価するのか?今後、考えていこうと思っています。(地学科教員)
⑫ 「源氏物語 桐壺 光源氏の誕生」 【古文×英語】 (第2学年) ☞学習指導案
昨年、リベンジを期して早1年。このような機会を設けてくださった先生方に感謝します。ありがとうございました。英語の先生との掛け合いには自信がありましたが、少し緊張したためか全開ではできませんでした。反省点はありますが、授業としては満足できるものだったと思います。今まで漠然と考えていた漢文と英語の関係性について橋本先生との教材研究によってクリアになりました。思い描いていた仮説と現実にかなりのくい違いがあることに気がつき、それだけでも収穫でした。今回の授業で長年の夢が叶いました。先生方、真剣に取り組んでくれた生徒たち、ほんとうにありがとうございました。(国語科教員)
漢文と英語とのコラボですが、最初はどこを着地点にしようか悩みましたが、生徒の感想の中で、「漢文を英語に毎回直すことに意味はないと思うが、漢文を英語的に考えるという思考の手札が増えたことは今後役に立つと思う」というものがありました。反省はたくさんありますが、自分が1時間で伝えたかったことを感じ取ってくれた生徒もいたことに大変救われました。ただ何よりも、国語の先生との掛け合いに全神経を集中して挑みました。(英語科教員)
⑬「ElementⅡ Lesson 2 Stay Hungry, Stay Foolish」(啓林館) 【英語×美術】 (第2学年) ☞学習指導案
スティーブジョブズのスピーチから、彼のデザインへのこだわりと生き方について英語で学び、芸術的な視点からアップル社の製品を知り、芸術の必要性について英語で表現しました。
⑭「新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」(小学館新書) 【 現代文×地学×生物】 (第3学年) ☞学習指導案
動的平衡ということを、美術と数学の観点から黄金比を学んだ。生命と自然界の神秘や環境と生命の繋がりなどについて新たな発見があり、生徒は感動している様子であった。